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【追悼】ジョナサン・デミ『クリストファー・ウォーケンのアクターズ・ラブ/舞台は恋のキューピット』(1982)

2017.04.26 13:47|ジョナサン・デミ
who am i this time
クリストファー・ウォーケンのアクターズ・ラブ/舞台は恋のキューピット
Who Am I This Time ?


『羊たちの沈黙』でアカデミー賞を総なめにし、続く『フィラデルフィア』でトム・ハンクスにオスカーをもたらしたジョナサン・デミ監督がお亡くなりになりました。
15年にもメリル・ストリープ主演で映画を撮っていたし、まだ全然お元気なのだと思っていたのだけど、がんを患っていたんですね。73歳。若いなぁ。
jonathandemme.jpg
今日は追悼にTVムービーとして製作された『クリストファー・ウォーケンのアクターズ・ラブ/舞台は恋のキューピット』を観ました。邦題長っ!!w


【あらすじ】
仕事で新しい土地に越してきたヘレンは、町のアマチュア演劇グループのオーディションに誘われ、主役のハリーに一目ぼれ。
しかしハリーは普段は超がつくほどシャイな男で・・


ジョナサン・デミ監督は見知らぬ町を車で散策するのがお好きだったようで、先日記事にした『Citizen's Band(原題)』もそうでしたが、監督の初期の作品は小さな町の人々のさりげない日常を描くものが多いですね。

本作も舞台は小さな田舎町。
つっけんどんで冷たい女に見える町の新顔ヘレン(スーザン・サランドン)は、実は人と触れ合うことに慣れず、自分をさらけ出すことができない女性。しかし彼女が一目ぼれしたハリー(クリストファー・ウォーケン)はヘレンの斜め上を行く対人恐怖症で、
自身は演劇を通じて情熱を表現できるようになったヘレンが、なんとかハリーの力になろうとする・・という話。
susan-chris.jpg
テレビ映画で尺も53分とコンパクトながら、ウォーケンとサランドンが劇中劇含め素晴らしい演技を見せてます。
特にウォーケンは普段は人と言葉を交わすのもやっとのオドオドした青年なのに、舞台に上がるやマーロン・ブランド並みに粗野なセクシービーストを朗々と演じてしまう。
ある意味二重人格者なのだけど、そのギャップが可笑しいし、オーディション前の準備の段階ですでに役になり切ってるところなど、細かい演出が笑えるのです。

舞台も学校の体育館の小さなステージで座席もパイプいす。
でもそこに観客とステージの繋がりがあってほのぼの。
小さな町のささやかな恋を、劇団の世代交代や、住民の日常をさり気に盛り込みつつ描くスタンスも微笑ましかった。

ちなみに邦題は「クリストファー・ウォーケンの」がついてるけど、主役はサランドンですね。

監督のご冥福をお祈りします。



映画データ
製作年:1982
製作国:アメリカ
監督:ジョナサン・デミ
脚本:ニール・ミラー
出演:クリストファー・ウォーケン
   スーザン・サランドン
   クロエ・ウェッブ
   ロバート・リッジリー
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テーマ:映画感想
ジャンル:映画

タグ:クリストファー・ウォーケン スーザン・サランドン 80年代

雨のなかの女

the-rain-people.jpg

雨のなかの女
The Rain People


【あらすじ】
夜も明けやらぬある朝、夫の眠るベッドを抜け出したナタリーは一人車を走らせる。
途中、元フットボール選手のキルガリー(ジェームズ・カーン)を拾うが
彼は’試合中の怪我がもとで頭に障害を負った青年だった。



幸せな結婚をしたはずなのに、何かしっくりこない。
妊娠し、このまま母になってもいいの?自分本当に大丈夫?
結婚生活に不安を感じるヒロイン、ナタリー(シャーリー・ナイト)は一人、家を飛び出し西へと向かう。

フランシス・フォード・コッポラ初期の監督作品となるロードムービーです。
この前年に撮ったアステア主演のミュージカル『フィニアンの虹』(1968)が思うように仕上がらなかったことから、
あえて低予算で規模の小さな映画にすると決めて撮ったのだとか。

それが功を奏したか、興行的な成功とまではいかないものの、本作でコッポラは自分の腕に自信を持ち、
会社まで立ち上げたとのことなので、その後の活躍の土台となる作品になったのでしょうね。
rain-people.jpg
しかし作品はヒロインが自分探しに成功する話ではありません。
ヒロインが旅の途中で出会うのは、まずは試合中の怪我がもとで脳に障害を受けてしまった元花形フットボール選手ジミー(ジェームズ・カーン)と訳ありハイウエーパトロールのゴードン(ロバート・デュヴァル)。
rainpeople1969_042620130410.jpg
3人の人生が予期せぬ方向にシフトしてしまうのを、まるでヒロインの業のせいであるかのように’描いていて辛い。
漠然と自由を求めるヒロインに明日が見えないのは、『イージーライダー』『真夜中のカーボーイ』に通じるものがあって
多分本作もアメリカン・ニューシネマの流れを汲んでいるんでしょう。

原題のThe Rain Peopleは、劇中ジミーの話す「雨族は雨でできていて、泣けば消えてしまう」というエピソードから。

シャーリー・ナイトがどアップでアイラインを入れるシーンなど、顔のクローズアップを多用した撮影が印象的。
彼女が自分のことを「私」ではなく「彼女」と呼ぶのは自身への違和感や孤独感を表現したのかな。
RainPeople(1969).jpg
小学生程度の知力しか持たないジミーをピュアに演じたカーンも珍しいけれど、
ゴードン役のロバート・デュヴァルは本人と気づかなかったほど。

『フラッシュ・ゴードン』ネタには爆笑した。日本語字幕だとどう訳したんだろうと気になります。

瑞々しく刹那的でアンニュイ。コッポラの原石的な才能が光る一本ですね。
これ好き。



映画データ
製作年:1969年
製作国:アメリカ
監督:フランシス・フォード・コッポラ
脚本:フランシス・フォード・コッポラ
出演:シャーリー・ナイト
   ジェームズ・カーン
   ロバート・デュヴァル
   マーヤ・ジメット
   ローリー・クリューズ

テーマ:映画感想
ジャンル:映画

タグ:60年代 ロバート・デュバル ジェームズ・カーン

引き裂かれたカーテン(1966)

 torncurtainposter.jpg

引き裂かれたカーテン
Torn Curtain

アルフレッド・ヒッチコックによる冷戦時代を背景にしたスパイサスペンスです。

暖房の壊れた極寒の客船
結婚を控えた物理学者マイケルとサラのカップルだけはベッドでいちゃいちゃ、アツアツだ。
コペンハーゲンで学術会議に出席するはずの二人だったが、ある伝言を受けとった後マイケルの態度が一変
ストックホルムで研究するから一人でアメリカに帰れと言われ、不審に思ったサラはこっそりマイケルの後を追う。
2人を乗せた飛行機は東ベルリンに着いた。


ポール・ニューマンが原子物理学者いうのにそもそも違和感があるのだが、『サイコ』で成功したヒッチコック作品にスター俳優のニューマンとアンドリュースを起用してヒットを狙ったというところか。

最初はニューマンが祖国を裏切り東ドイツに亡命する話?と驚くが、そこからひねりがある。
実はマイケルはその道の権威、リント博士の理論を盗むため、亡命者を装い東ベルリンに派遣されたスパイだった。

とはいえ、所詮は「雇われ」の「臨時」スパイ。
007風なスパイアクション映画になるはずもなく、なんとか任務を果たした後、マイケルとサラがいかに国外脱出を図るかが本作のサスペンスをけん引することになる。

素人な二人ゆえのハラハラもあるものの・・正直あまり面白くなっていかない。
一つには主役2人の魅力が生かされてない点だろう。
せっかく素人カップルの脱出劇という面白い設定なんだから、どうせならスクリューボールコメディにしたらよかったのにと思うのだが、中途半端にまじめで遊びがないのだ。
脱出も人任せで本人の努力を感じられないので、結果に対して爽快感さえ得られない。
冷戦の真っただ中に観れば、今よりも緊張感が伝わったのかな。
torncurtain2.jpg
主役よりも印象に残るのは、リント博士、バレリーナ、ポーランド人女性といった脇役の活躍。
舞台で演舞中にマイケルを目ざとく見つけるバレリーナの「眼」の演出なんかホラーだよね。
アメリカに渡ることを夢見るポーランド人女性の切実さは、特に時代を感じさせる。
Torn-Curtain-Unloved-2016.jpg
布団の中で始まって最後も毛布の中の二人で終わるのはうまい演出。
でも、二人を祝福しがたいのは、アメリカのエゴのみが際立ってしまったから。
最後にポーランド人女性を助けるよう手紙を書くとか、犠牲にした者、助けてくれた面々への思いが表現されるとよかったな。

ポスター(とタイトル)は『サイコ』を意識してのもの?



映画データ
製作年:1966年
製作国:アメリカ
監督:アルフレッド・ヒッチコック
脚本:ブライアン・ムーア
出演:ポール・ニューマン
    ジュリー・アンドリュース
    リラ・ケドロヴァ
    デヴィッド・オパトッシュ
    ルドウィッグ・ドナス

テーマ:映画感想
ジャンル:映画

タグ:60年代 ポール・ニューマン ジュリー・アンドリュース

ザ・クラッカー/真夜中のアウトロー (1981)

2017.03.14 07:16|その他

thiefposter.jpg
 

ザ・クラッカー/真夜中のアウトロー
Thief 

マイケル・マンの長編デビュー作

カーン演じるフランクは、昼間は中古車センターのオーナー、夜は必殺金庫破りの二つの顔を持つ男。
組織に所属せず、服役中に名人オクラから学んだやり方で仲間と仕事をこなしてきたフランクだが
そろそろ家庭をもって静かな余生を送りたいと思っている。
夢に一歩近づいたと思った矢先、フランクの仕事ぶりを見初めたマフィアに声をかけられ・・


金庫破りの一部始終を見せるところからまずひきこまれる。
緻密に警報を解除した後は、解体工事現場さながらに力業で破壊する!
技術顧問に本物の金庫破りを雇ったというから、リアリティは折り紙付きで
金庫の中から近接で撮った映像もカッコいい。
Thief 01
仕事を終え夜の街へとまぎれいくスタイリッシュな演出に『ドライブ』を思いだしたが
マイケル・マンはデビュー作からその様式美を確立させていたんだと驚く。

Thief-1981-still.png


しかし、本作ではスタイリッシュと真逆に思える任侠臭さがあって、そこがまたいい。
40ドルを盗んだことから始まったフランクの転落人生。
アウトローとして生きてきた彼がようやく人間らしい暮らしに落ち着こうとするとき
ささやかな夢は壊される。

以下結末に触れるので未見の方はご注意ください。



続きを読む >>

テーマ:映画感想
ジャンル:映画

タグ:80年代 ジェームズ・カーン マイケル・マン

グロリア(1980)

2017.03.07 14:38|ジョン・カサヴェテス
 gloria-1980-03-g.jpg

グロリア
Gloria

あらすじ
マフィアの重大な秘密を売ろうとして惨殺された一家から男の子フィルを助けた中年女グロリア。しかし問題の秘密をフィルが持ち出していたことを知ったマフィアは少年をかくまったグロリアの命をも狙い始める。


ジョン・カサヴェテスが監督、ジーナ・ローランズ主演のハードボイルド映画。

マフィアに家族を殺された子供を託されたグロリアが、ただの近所のおばさん と思いきや
実は極道系の女で、グロリアを演じるジーナ・ローランズが最恐にしてカッコいい。
しかし所詮女と子供、2人はやがて追い詰められる。

ここでは基本ネタバレありで書くことにするので了承願いたい。
gloriagrave.jpg
何の情報も得ずに観ていたら、ラストシーンは逃亡の末のハッピーエンドと感涙に浸ったと思うが、前にブロ友HKさん(映画をつなげて観るブログ)のレビューを読んでいたので、違った感慨を持つことになった。

HKさんによると、最後、フィルの待つ墓場に現れたグロリアはすでに死んでいたのではないかとのこと。
確かにグロリアがあの状況でマフィアの家から生きて戻れたのは奇跡に近い。
しかもグロリアを乗せた黒いリムジンにはナンバープレートがなかった。

「墓場には死んだ魂が集う」との伏線もしっかり張られており
全編を流れる哀しげな音楽も相まって
「すでにグロリアは死んでいた」説に大いに頷いた。

さらに云うならば、フィルを連れてきたタクシーにもナンバープレートがなかった!

映画を観ながら、実は一番気になったのはフィルの大人っぽさだ。
彼の台詞の数々に、時には吹き出してしまうほど フィルは大人の男の影をまとっている。

グロリアはマフィアの情婦だが、
バスで出会った叔父さんはもしかしたらグロリアの元恋人の亡霊だったかも

どこかの時点でフィルもまた亡き者になっていた?と思うとき
フィルの身体を通し、かつて愛し合った魂が再会を果たしたのかもしれないなどと
妄想は限りなく膨らむのだった。

やりすぎると映画の感想にならないか(笑)

とにもかくにも
ベッドでのフィルの背中のセクシーさは必見。
フィルを演じたジョン・アダムス君はこれが唯一の映画出演作品らしい。
あら残念。


映画データ
原題:Gloria
製作国:アメリカ
監督/脚本:ジョン・カサヴェテス
出演:ジーナ・ローランズ
   ジョン・アダムス
   バック・ヘンリー
   ジュリー・カーメン


テーマ:映画感想
ジャンル:映画

タグ:80年代 ジーナ・ローランズ

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